エンジニアはどこへゆくのか 〜電機メーカ開発者の悩める日々~

組み込み系エンジニア。新卒でメーカに入社してからの日々。思ったこと、考えたことを書いていく。1回転職した。

あるところに企業が一人生まれました。名前をホージン君と言います。

あるところに企業が1人生まれました。名前をホージン君と言います。

ホージン君には、同い年の子が10万人くらいいます。

 

ホージン君は賢い頭と丈夫な心臓を持っていました。しかし、身体は小さく、長生きできるかわかりませんでした。時には病気もしました。でも、人々はホージン君が誠実であることを知っていました。周りの大人や友人はホージン君にわずかずつ食料をあげて、ホージン君はなんとか回復しました。彼はお世話になった人たちに少しずつ、お礼をし続けました。もういいから、と言われるまで、もらった以上にお礼をし続けました。

 

ホージン君は10才になりました。ふと自分の同世代を見ると、ホージン君が生まれてからは気候の変化が激しく、寒暖の差の影響か、同世代はだんだんと数が減っていました。同世代は3割も減っていました。しかし、ホージン君は真摯に愚直に日々を過ごし、食料を得ることで、成長していきました。途中で大きな大人に食べられそうになったり、信じてた友達に食料を奪われたりすることもありました。しかし、ホージン君は頭を使って身体を動かして、毎日を一生懸命生きていました。

 

ホージン君は20歳になりました。同世代は半分になっていました。しかし、あの小さかったホージン君は立派な青年になっていました。大きくなっても誠実なホージン君を周りの人たちは立派だと称え、応援してくれる人もどんどん増えていきました。応援してくれた人たちのおかげで、ホージン君はさらに大きくなりました。体は筋骨隆々としています。代謝もよく、日々体全体が生まれ変わるようです。エネルギーに満ち溢れており、いろんなことに挑戦しました。挑戦するために必要な道具を持っていなくても、周りの大人たちが「あとで返してくれればいいから」と心よく借してくれるのです。

 

ホージン君は充実した日々を過ごし、さらに大きくなっていきました。

 

ある日のこと、ホージン君はなんだか身体がだるいような気がしました。最近、寒い日が続いているので、風邪でも引いたのだろうと思っていました。ところがしばらく経っても良くなりません。次第に足の先がしびれてきました。ホージン君は心配になって病院に行きました。残念なことに病気になっていました。このままでは足を切り落とさなければならないそうです。

 

ホージン君は治療をはじめました。足を切り落とすなんて嫌ですから。お医者さんに言われたのは「太り過ぎ」でした。ホージン君は、もうおじさんになっていたのです。しかし、身体は大きくなっており、その身体を維持するための食料を確保できてないことが病気の一因でした。近年、不作の年が続いており、食料の確保は難しいため、ホージン君は体を絞ることにしました。ホージン君は運動したり、汗をかいたりしてやせようとしました。しかし、以前のように身体が動きません。手も足も自分じゃないみたいです。

 

ホージン君は、ほとんどやせることができませんでした。あの筋骨隆々な身体は、本人も気づかないうちに脂肪へと変わっていたのです。一度身についた脂肪は落としがたく、そうこうしているうちに足の痛みがひどくなってきました。病院では「もう切るしかない」と言われました。でも、そんなことできません。これまで自分を支えてくれた大事な足なのです。ホージン君は、ただでさえ不足がちな栄養を足にたくさん送ることにしました。すると、足の痛みは少しやわらいだような気がしました。

 

と、思っていた矢先、今度は手がしびれてきました。ホージン君は真っ青になりました。病院に行くと、案の定、「このままでは手もだめだ」と言われました。ホージン君は焦って、仲間たちに助けを求めました。「助けてくれ、食料をわけてくれ」そう言ったものの、仲間たちも不作の時期がいつまで続くかわからないため、食料を分けることができませんでした。

 

ホージン君の手は痛みに変わっていました。ようやくホージン君は足を切る決断をしました。ただし、自分の体は大切なので、切るのは足だけでした。お医者さんは言いました。「今さら足だけ切ってもね。」

 

ホージン君は足を失いました。手の痛みは残ったままです。このころには冷静な判断もできなくなっていました。考えがまとまらないのです。あの賢かった頭はどこへいったのか。ほかの部分もなんだか調子がよくありません。お医者さんに聞くと老廃物がたまっているそうです。お医者さんには「心臓だけは元気だね。でもこのままだと死んでしまうよ。」と言われました。

 

このころには、ホージン君の同世代はほとんどいなくなっていました。しかし、ホージン君は死にたくありません。自分だけは生きたいのです。今や生きてさえいればいいという心境になっていました。

 

そこでホージン君は、あとで返すあてがあると嘘をついて、仲間に食料を分けてもらいました。病気にはなっても今まで誠実に生きてきたホージン君です。仲間は信用して食料を差し出しました。ほかの仲間にも同じことを言って食料を分けてもらいました。そして、一部を先ほどの仲間に返して、返すまでの期間に少し猶予をもらいました。

 

そんなことを繰り返してホージン君はなんとか生きながらえていました。しかし、長く続くはずがありません。仲間たちに嘘がばれてしまいました。嘘は悪いことなので、警察の取り調べも受けました。もう誰もホージン君を信用する人はいません。ホージン君は日々の食料さえままならず、ついに倒れてしまいました。

 

そうして、息も絶え絶えの状態でいると、ひそひそ周りから話し声がします。ホージン君にはわからない言語です。よく知らない誰かが離れた位置から自分のことをうかがっているようです。ホージン君は最後に残った力で「助けて。。。」と言いました。すると、彼らは相変わらずわからない言語でヒソヒソ話したあと、ホージン君に「助かりたいか?」と聞きました。ホージン君は「もちろんです。」彼らはそれを聞いて「よし、わかった。手術を受けろ、お前の身体を助けてやろう。」ホージン君は感謝しました。「よかった。助かった。優しい人たちもいるんだ。」その後、手術が始まりました。

 

ホージン君の体にメスが入りました。手が切り取られました。しかし、手術は終わりません。腸や胃も切り取られました。しかし、手術は続きます。ホージン君は異変を感じました。次に切り取られたのは心臓でした。「ちょっと待ってくれ。心臓だけは元気なはずだ。」すると、彼らはこう言いました。「そうとも。だから、これが欲しかったのさ。」そう言って、彼らのうちの一人が心臓を持ったままどこかに行ってしまいました。

 

残った人たちも思い思いにホージン君を解体し、欲しい部位を持ち去っていきました。そして、最後にはホージン君は跡形もなく消えてしまいました。