エンジニアはどこへゆくのか 〜電機メーカ開発者の悩める日々~

組み込み系エンジニア。新卒でメーカに入社してからの日々。思ったこと、考えたことを書いていく。1回転職した。

ブログ記事は今回で200本目だそうで。7年越しです。

新入社員として入社して以来、書き綴ってきたブログも200本目です。新卒の頃(2012年)は更新頻度が高いですね。そして、だんだんと頻度が減り、途中3年ほどまったく更新してない時期もありました。

 

せっかくなので、最初の記事を読み返してみました。このブログの目的は下記だそうです。これについて思うことを書きます。

  • ブログの目的

 日本のメーカーはいったいこれからどうなるのか、本当に衰退していくのか、内部から見ていこうと思っています。さらに私自身についてもまだエンジニアとして何のスキルもありゃしないのですが、何を経験し、何を身に付け、何を考えるのか。そういったことを書いていこうと思います。

 

日本のメーカーは衰退していってますよ。というか、今まで(昭和~平成初期)が繁栄し過ぎていたように思います。第二次産業を担う国がなかったことや、日本の経済成長期に当たってたことなどが理由かな。内需も外需も成長し、作れば売れるという恵まれた環境にあったのだと思います。今後、メーカは厳しいでしょう。このブログを書き始めた2013年よりも厳しくなっていることを感じます。

 

私自身が何を経験し、何を身に着け、何を考えるのか。この部分については、当時と変わらない思いを持っています。ブログ(日記)ってそういうもんだし。

 

続いて、7年間で気づいたことを少し書いておきます。

・「社会人」という存在はいない。「常識」もない。

学生時代に「社会に出たら通用しない」って言われたことありませんか?いわゆる社会人になれるか心配したことありませんか?働いてわかったのですが、そんな謎の生命体は存在しません。1つの会社で「常識がない」と許容されなくても社会は広いですから。場所も変われば常識も変わります。遅刻にめちゃくちゃ厳しい会社もあれば、古フレックスの会社もありますから。

・自分ができると思ってたことは大したことなくて、その逆もある

自分で得意だと思ってたことなんて、大体の人は余裕でできてました。半田づけとかね。その逆もあって、自分が大したことないと思う仕事が他人にはなかなかできませんでした。交渉とか調整とかね。仕事を通して、いろいろやってみたから気づいたことは多いですね。特に、「好きじゃないけど得意なこと」って外部からの要求がないとやらないから気づきにくいですね。

 

・生産性を考えてる人は少ない

これは環境によって違うと思います。でも、少ないです。必要かどうか不明だけど、やった方がいいからやる、という精神。これは病気だと思う。全員を集めてメールで済む内容を伝える。過剰なクオリティのパワポ資料。やめたらどうなるのか?もっと効率的な代替手段はないのか?思考が固まっているのでしょう。

・年寄りの扱いに困る

バブル世代の扱いはどこの会社も困っているのでしょう。クビにしたほうがマシな50代は大勢います。歳だから無理できない、スキルも古い、やる気もない、頭の回転も鈍い、そして昔話は長い。もちろん中にはついていこうと思えるボスもいますけどもね。

・おもしろい瞬間もある

開発してた製品の出荷が決まったとき。難問題を解決したとき。大きなプロジェクトをやり終えたとき。ソフトや回路が狙い通りに動いたとき。それぞれ一瞬だけどね。

 

まだまだ先は長いので、こんな感じでこれからも書いていきます。

 

 

 

 

転職して楽になったこと。転職後初の夏休みを終えて、少し自由になれた気がした。

初の夏休みが終わりました。社会人になってから一番満喫できた気がします。やったことといえば、小さい子供もいるので、海に行ったり、バーベキューをしたり、公園に行ったりとそんな程度です。しかし、しっかりOFFれたように感じています。

 

思えば就職してからの休みは、何かに追われていました。休みの日でも仕事のことが頭から離れず、隙間時間を見つけては勉強する、仕事する。そんな日々を過ごしていました。長期休暇でも変わらず、そんな調子でした。確かに海も行ったり、バーベキューしたりもしていたものの、常に頭の片隅には仕事がありました。

 

しかし、今回はすっかり仕事を忘れていました。それができたのには転職が関係しています。転職前は仕事に最大のリソースを割き、余った時間や気力体力をプライベートに回すという考え方でした。そうなっていたのは、バカ真面目だったからですね。そういう風土だったということもあると思います。

 

転職したことにより、自分の市場価値や世の中の評価という視点で物事を考えることになりました。だから、力を入れるべきポイントがわかってきたのでしょう。ポイントのところでアウトプットが出せればよいのです。だから、常に仕事に全力を傾けなくても(逆に言うと、全力を傾けても)自分の評価は落ちません。

 

少し具体的に書きます。例えば転職前は、こんな感じ→パワポの資料は完全を目指す、内部調整は必死の覚悟、監査対応はやりすぎるくらい、それらをやった上で開発も納期守ります。上司からの評価は自分の価値だから、上司が気にする前にe-learningやセキュリティ対応はすべてやる、何事もこちらから先手を取って話かける。こんなことやってたら時間足りないから、スキル向上はプライベートの時間を可能な限り捧げてがんばります。

 

でも、この中で何が大事かっていうと、納期守ることとスキル向上なんですね。だから、転職後はこんな感じ→納期は守るべく、開発優先です。ただし、スキル向上も大切なので業務時間内でも行います。あとは、言われたり気づいたりしたらやります。パワポの資料も必要な分だけTPOに合わせて最低限作ります。プライベートは家族と自分の興味がある分野の勉強に使います。

 

これで全然問題ない。自分の市場価値は下がらない、というか、開発経験と技術スキルに時間を割くわけだから市場価値は上がる方向になる。仮に上司の評価が下がってもそんな上司の基にいなくてもいいや、また転職してもなんとかなるだろうという自信がついたのも大きいですね。

 

転職前はいろいろと縛られていたんだなあと思うわけです。視野が広がって少し自由になりました。

仕事がんばったところで先は見えてるんだけどがんばってしまう。しんどい。

大学⇒大学院⇒メーカ開発職⇒転職して、メーカ開発職。

社会人としてのスキルは組み込み系のハードとソフトです。前職の同期と会う機会が会って話したんだが、もうなんか先が見えてくるよね。

 

今の位置から順当に行って下っ端管理職くらいが関の山だろうと。うまくいって40前半か中頃くらいでそこまでいき、年収は900~1200万くらいで終わりだろうと。大企業で部長までいくのは大変だし、実力に加えて運と人の関係が大いに影響するところなので。そう考えると責任感感じて日々の仕事をがんばってやりきる!みたいなモチベーションはあまりなくなってくるし、自分の時間をささげてまで仕事の勉強をしようとも思わなくなる。家族や趣味の時間を充実させた方がいいような気がする。

 

そうは言っても。そうは言っても仕事がんばってしまうんですね。自分の時間をささげてでも(いわゆるサビ残)仕事やろうとするんですね。これは一種の病気だと思う。みんなそうなんだろうか?

 

さらに言うと趣味なんてないし、趣味よりも仕事したい。好きではないが、趣味は余計な時間だという意識があって、それよりも仕事してた方が有意義な気がする。クソ真面目なのかもしれないが、そういうスタイルなのだから仕方がない。

 

せめて家族との時間は大切にしようと思う次第であります。

 

しかし。

最近思うんだが世の中のみなさんはそんなに充実したライフを送っているのだろうか、時間を創って旅行したり、スポーツしたり、仲間とバーベキューしたり。これホントなん?

自分は休みの日に何もしたくない。人に会うのも疲れる。運動もしたくない。ダラダラしてたい。というか土曜日は平日の疲れで何もしたくないし、日曜は翌日から仕事だから何もしたくない。よって、何もしない。せいぜい酒飲むくらい。

 

生きてるだけでしんどいんだよ。休みの日くらいこんなんでいいじゃねーかよ。

 

 

 

 

 

特攻あるのみ!組み込みの開発現場とはこんなところだ!~電気機器・電化製品の開発事情を赤裸々に綴る~

組み込み機器業界で働く開発者です。

タイトルの話をする前に「組み込み」について説明します。組み込みとは、CPUを組み込んだ製品のことです。炊飯器やTVなどの家電、プリンタ、カメラ、工作機械などです。パソコンとは違い、その製品専用にCPUを選び、その製品専用のソフトウエアを用意します。詳しくは「組み込み」、「組み込み機器」とかでググってください。

 

なお、当たり前ですが、限られたリソース(金、人、開発環境)で限られた期間で市場投入できるところまで完成度を高める、ということを各製品チームが行います。

 

では本題です。組み込みの現場とはこんなところだ。

1.コスト至上主義

2.メカ>電気>FW(ソフト開発者)の順にえらい

3.現状維持バイアス強い=新しいことしない

4.ノリが昭和

 

では、順に説明します。

1.コスト至上主義

1円でも1銭でも安く。特にコモディティ化している家電などは顕著だと思います。競争力=コスト(安いこと)という考え方が強い。製品単価を少しでも抑えねば。そのため、部品はより安価なものを選定します。例えばCPUなんてこの時代にこんなマイコン使いますかレベルの低スペック品です。また、開発費も製品コストに乗ってくるため、抑制対象です。試作回数を減らす。余剰部品を作らない。コスト至上主義は根強く、目に見えないものは思考の対象外です。例えば、開発環境が古いから効率が悪いと思っても、新規の開発環境を導入するコストばかり気になってなかなか導入できません。10年前、20年前の環境で開発しているなんてよくある話です。

 

2.メカ>電気>FW(ソフト開発者)の順にえらい

 製品チームは、おおざっぱにくくると、メカ設計+電気設計+FW設計で構成されます。(なんでFW(ファームウェア)と呼ぶか興味ある人はググってください。)

人数は、メカ:電気:FW=3:2:1です。そして、最も変更に時間とお金がかかるのがメカ。型が必要ですから。次が電気。基板が必要ですから。FWは何もいらない。ということで、メカ設計が「もううち無理!」って言い出すと、電気とFWがなんとかしようとします。でも、電気が「うちも無理!」って言い出したらFWでなんとかするしかないですね。製品開発の特に終盤は常にFWにしわ寄せがくる構造。メカや電気が出したきっつい仕様をFWが実装するような感じになっちゃって毎回大変っと。

 

3.現状維持バイアス強い=新しいことしない

 基本的にいつだって開発者は忙しい。開発中の製品は問題だらけだし、人は足りてないのに開発期間はどんどん短くなっていく。おまけに特許提案や工場との調整、すでに市場投入した製品のトラブルまで舞い込んできて日々目が回ります。目の前の問題を片づけなければレビューに間に合わないとか、役員に説明できないとか、いろんな事情があって日々切羽詰まっているわけです。そんな中で新しいことやる余力はないですね。新しいことはリスクがあります。新しい環境を導入すれば開発効率がよくなるのはわかる!やり方を変えなければいけないこともわかっている!こんな開発スタイルでは競合他社に負けてしまう!でも、どうしても今日は忙しい。そんなことやる人的余裕もない。だから、変化は明日にしよう。そう思って日々先送りされ、明日が来週になり、来週が来月になり…いつまでも変わらないのです。誰か他部門の人が予算調整や環境導入までやって教育コストもかからず、移行も一瞬です、というような変化があればきっと変わるでしょうね。ありえないけど。

 

4.ノリが昭和

全員 一致団結して総力戦で開発日程を死守せん!という文化です。旧日本軍ですね。そのためには残業も致し方ない。これはコストの話と矛盾するのだが文化が勝つ。リリース日程を遅延した場合の機会損失は大きいとか、いろいろ理由は付けるのだが、結局はいくら残業してもいいから何とかしろ!という風土。また、上の指示は強い。上司が、やれ!といえばやり方は間違っててもそのやり方でやりきる。もうそのやり方は間違っていると誰もが気づいていても倒れて死ぬまでは突き進む。特攻あるのみ!

 

以上、組み込みの現場を書きました。

当たり前ですが、組み込み業界は広いので、僕の知っている世界なんてホントに小さい部分だけのお話です。うちは違うとか、もっとひどいとかあればコメントください。