エンジニアはどこへゆくのか 〜電機メーカ開発者の悩める日々~

組み込み系エンジニア。新卒でメーカに入社してからの日々。思ったこと、考えたことを書いていく。1回転職した。

現状を変更する際の話し方&やること。リスクとメリット、そして判断。

■現状を変更する
変更するためには関わる人達を説得する必要があります。過去から多くの人達がいろいろ考えた末に辿り着いた現状です。忙しさのあまり考えきれてないときもあるけど。そんな現状を変更するには関わる人達を納得させる理由が必要です。

今回は「変更したい」の伝え方を書きます。

■説明の仕方
1.結論 ←まずはこれ!
○○の基板について配線を変更したいです。

2.変更したい理由 ←なんで変更したいか
現状ではラインAとBが近接しているために信号Aが変動したときにBも同じように変動してしまいます。こちらが波形です(データを示す)。

※データや数値の裏付けは必須です。感覚で話すと相手は納得しようがありません。

3.データ説明 ←現状ではNGもしくはリスクが大きいと説明
信号Aの立下りによってBにも影響が及んでいることがわかります。信号Bの変動量は大きく、ユニットが誤動作する可能性が高いです。

4.変更案
そこで対策として考えているのがこちらです。
ラインAとBの間にGNDを挟み、影響を抑えます。配線を変えた場合の波形を示します(データを示す)。

※変更して本当に良くなりまっせ!というためにもデータや数値が必要。before,afterは判断材料として必要

5.変更に伴うリスク説明 ←変更してもリスクは小さいですよ
配線変更に伴い、生じるリスクとしてはGNDの位置を変更することでラインAとDが近接し、AからDへ影響が懸念されます。しかし、ラインDは平滑された信号であり、ノイズの影響は小さいと考えられます。

※データがあればベスト。本当に影響小さいと示すことができる。

6.結論
よって、配線AとBの間にGNDを挟む変更を行いたいです。

■ここまで5〜10分くらいだろうか
説明に伴う時間は変更内容の大きさによって変わる。変更規模が大きい場合、関係者やリスクも増大するため、必要な時間は増える。

しかし、変更規模に関わらず、基本は上の流れだ。
判断としては、現状のリスクと変更に伴うリスクとメリットを比較して、メリットが大きく期間内に可能であればやるという決定になる。


■必要なのは判断材料
説明はあくまで自分自身の判断である。上の人や関係者は別の視点で、説明外のリスクやメリットに気づくことがあるだろう。そのための組織なので当然である。それを考えた上で、やるか、やらないかの判断をしてもらわないといけない。

そのために必要なのが判断材料としてのデータ、数値である。設計者は臆病なので嘘でもいいからデータがほしい。
前もって考えられるリスクを全て考え、それに対するデータ、数値の裏づけを取っておくことが望ましい。なぜなら判断材料が揃ってないと結局判断できず、前に進めない。

■変更したい!場合にやること
設計者が現状を変更したいときにやるべきことをまとめる

現状のリスクレベル分析
まず変更する必要があるのか分析
絶対変更レベルのNG?ちょっと対策すれば小さい変更でいける?変更はほぼなし?
※データによる裏づけ

対策を考える
変更はなるべく少なくしたい
しかし、大きく変更せざるを得ない場合はそれに伴うあらゆるリスクを考える

対策案のメリットを裏づけし、リスクを分析する
対策すると良くなりますよ
※データによる裏づけ
リスクはないですよ
※データによる裏づけ、有識者の見解、過去の知見 ←ここは経験が浅いと難しい

自分の考えどおりに変更に伴うリスクよりメリットが大きいようならば関係者に説明し、変更を希望する。

■設計者は考える必要がある
リスクとメリットを天秤にかけ、期間を気にしつつ、判断を下す。そのために設計者は考える必要がある。下記は参考までに。

変更は必要なのか?
これがベストな変更なのか?
リスクは本当にこれだけか?
メリットは本当にあるのか?
変更すると誰に影響するのか?どこに影響するのか?
期間内に間に合うのか?
今までのデータで使えるものは?変更してデータを取り直すものは?

■まとめ
現状を変更するのは大変なことらしい。←最近自分の担当でこれをやって大騒ぎなのだ。
始めからもっと考えておく。それでも変更するならそのときにあらゆることを考える。そして、説得できるだけの裏づけを取る。

やっぱ大変。